こんにちは! FAITH(フェイス) 小川由佳です。
社会心理学者であるS.E.アッシュが行った
集団圧力に関する実験
をご存知でしょうか?
この実験では、
「最初に見せた線と同じ長さの線を、
A、B、Cという3本の選択肢の中から選ぶ」
という簡単な課題を、8人ほどの人たちに与えます。
この8人のうち、7人は実は”サクラ”であり、
残りの1人が真の被験者です。
アッシュは、課題を合計18種類用意しました。
どれも、見てすぐ正解がわかるような、簡単な課題です。
ですが、そのうちの12種類においては、
“サクラ”に誤った答えをさせ、
それによって被験者の答えがどう変化するのかを
アッシュは調査しました。
結果はどうなったと思いますか?
”サクラ”がわざと間違った答えを選ぶと、
被験者も間違った答えを選ぶ傾向があることが
確認されたのです。
実験の結果、全ての課題に正解を答え続けた被験者は全体の約25%で、
残りの75%は”サクラ”の間違った答えに一度以上同調してしまいました。
普通に見ると、どれが正解か、極めて明らかであるにもかかわらず!
最終的に、被験者が”サクラ”に同調して不正解の選択肢を選ぶ確率は、
約3分の1であったと言われています。
この実験結果は、アメリカで行われたものですが、
同じ実験を日本で行えば、どうなったでしょうか。
カルチャーとして、和を重視しがちな日本。
もしかしたら、もっと正答率は落ちるかもしれませんね。
リーダーにとって、この「同調」というのは危険な落とし穴(誘惑)です。
なぜなら、リーダーは、チームの最終意思決定者。
場合によっては(特に緊急時などは)、
周りとは異なる意見であっても
リーダーは、自身が正しいと思う判断を
主張し推し進めることも必要であろうからです。
にもかかわらず、人間である私たちは、
「同調したい」誘惑にかられます。
アッシュの実験は、
正解が明らかな、簡単な課題であったにも拘わらず、
誤った答えに同調してしまう人が多くいました。
だとしたら、ビジネスや業務上の課題のように、
正解が何なのかわからないようなもので
あったとしたらどうでしょう。
なおさら、周りの人たちが発する答えに同調することで、
「波風を立てるのを避けよう」としたとしても、
不思議ではありません。
でも、リーダーの行動としては・・・
やはりよろしくないですね。
では、どうしたら、私たちは「同調」に飲み込まれずに
自分の判断を信じて発信&行動することができるでしょうか。
実は、先ほどお伝えしたアッシュの実験には、続きがあります。
とてもおもしろいなと思うのですが、
1人でも被験者と同じ答えをする”味方”がいれば、
同調が極端に減り、正答率が持ち直すのだそうです。
そして、これが「同調」に陥らないために私たちにできること。
つまり、自分の”味方”を作ることです。
1人でもいい。誰か自分の”味方”をしてくれる人を見つけることで、
自分の意見を主張する勇気が湧いてくるのです。
そんな”味方”を職場で見つけられるといいですね。
あるいは、職場で見つけられなかったとしても、
配偶者でも友人でも、
あなたにとっての理解者を見つけられると
違うのではないでしょうか。
ちなみに、私は、この”味方”というのが、
コーチの1つの役割だなあと思っています。
クライアントさんの中にある力を信じ、
クライアントさんと共にあること。
それによって、クライアントさんが
自分を信じ、自分の判断に従って行動できるような
勇気をもてること。
「信じてくれる人がいるから、がんばれる、一歩踏み出せる」
クライアントさんの一番の味方でありたい
そう願いながら今日も仕事をしています。