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「叱る」ことに人の学びや成長を促進する効果はない

こんにちは!
FAITH(フェイス)小川由佳です。

管理職の方と接していると、
そのお悩みとして
「叱る」ことの難しさやその試行錯誤について
お伺いすることがよくあります。

そのため、普段から、
「叱る」というキーワードには
アンテナが立っているのですが、

先日は、臨床心理士・公認心理師であり、
Neurodiversity at Work株式会社代表でもある、
村中直人さんの

「<叱る依存>が止まらない」

という講演を聴きました。
(その後、もう少し理解を深めたくて、
ご著書も読んでみました。)

まず前提として
村中さんは、「叱る」ことを、

言葉を用いてネガティブな感情体験(恐怖、不安、苦痛、悲しみなど)を与えることで、相手の行動や認識の変化を引き起こし、思うようにコントロールしようとする行為

定義づけされています。

この定義を踏まえて、
お伺いした話の中で一番印象に残ったのは、

実は、「叱ること」によって、学びや成長を促進する効果は、あまりない。
そして、効果がないわりに、副作用としての弊害が大きい。

ということ。

その説明として、村中さんは、
こんなお話をされていました:
(講演やご著書を参考に
小川にてポイントを抜粋&要約)

 

人はネガティブな感情への反応として、
「戦うか、逃げるか」いずれかの行動を取ります。

叱られた部下の、上司に対する行動でいうと、

「戦う」とは、例えば、口答えしたり反論したり
することでしょうか。

一方、よくある反応は「逃げる」のほうです。
例えば、「申し訳ありません」と謝ってみせること。
もしくは、言われた通りに行動してみせること。

この行動は、上司にとっては、一見
「望んだ結果が得られた」と
感じられるかもしれません。

でも、実際のところ、
部下は本当に「学んだ」のか?

というと、
そうでない可能性が多々あります。

というのも、叱られる側の「逃げる」行動は、
単に「苦痛からの回避」にすぎないからです。

叱られた側にしてみれば、

ネガティブ感情が強く引き出されると、
苦痛や恐怖で満たされてしまい、

この苦痛や恐怖からいかに逃れるかで
頭がいっぱいになり、

本来、叱る側として意識を向けてほしい
「叱られたことの原因」には
意識が向きにくくなってしまうのです。

村中さんは、「叱る」ことの効果として

① 危機介入
何か危険なことや、絶対にしてはいけないことを
している人の行動を、すぐにやめてもらう、
もしくは、違う行動に変えさせる

② 抑止力
危険な行動や望ましくない行動を取ると叱られる
(もしくは、罰を与えられる)と予告することで
それらの行動を予防する

を挙げています。

逆にいうと、それ以外の効果、つまり、
人の学びや成長を促進する効果は、
「叱る」ことにはないということです。

 

以上、村中さんのお話を簡単にお伝えしました。

「叱る」という行為を
相手にネガティブな感情体験を与えること
と定義するならば、

確かに、この行為に
人の学びや成長を促進する効果は
なさそうだなと感じます。

私自身、若いころに、
ある上司からの叱責が怖くて
日常的に萎縮してしまい、
以前であれば出来ていた行動でさえ、
できなくなってしまった経験があることを
思い出しました。

だからこそ、「叱る」のではなく、
「フィードバックする」ことが大切なのだと
村中さんの話を聞きながら思ったのでした。

 

 

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